露の 新治 独演会 in 上海

 上海市長寧区緑地商務大厦

2009.7.7 上海で落語の会


(2009.7.3) 「上海到着」

 3日朝、11:30関空集合。さあ!と思ったら、あっさり「3時間遅れ」の表示。いきなり出鼻をくじいてくれました。

 いきなり3時間出発が遅れた上に、上海浦東空港に着いたとたんに白服の人が8人も乗りこんで来て、熱を計りだしました。インフルエンザの検査らしい。なんと二人がひっかかりました。降りられません。ほんまに、さい先のいいスタートです。結局、降りられましたが、外国人である我々が手続きで手間取っている間に、さっきのひっかかかった中国人の女性が笑いながら追い抜いて行きました。「すみません」も言わずに。

あっさりと3時間遅れの表示
遅れた上に、この騒ぎ

 浦東空港に着くも、インフルエンザの検査で足止め。おでこに、光を当てて、多分熱を計っている。写真は『それでも笑顔を忘れない新治』。(下の写真は、南陽師匠提供)

インフルエンザの
テスト
乗り込んで来た
検査官

 やっと飛行機から降りることができました。夕日が迎えてくれました。時差が1時間。なんぼほどかかるねん。もう8時やないか!
 まあ、タクシーが飛ばす、飛ばす!120キロ出てました。それをリニアがまた「シューン」とも何とも言わず、あっという間に抜いて行きます。せわしない町です。

 宿泊は「錦江之星」。あまり日本人が泊まっていない穴場で、比較的安くて清潔なホテルです。40回ほど往復している上海通の鴻本さん(上海で落語を聞く会代表)ならではの選択。
 33年ぶりの上海はさぞ変わっているはずなのですが、昔の記憶がほとんど無く、よく分かりません。しかし、高層ビルの間に見事に古い瓦屋根は、上海らしい光景。来年の万博に向けてあちこちでダイナミックな工事が行われており、町じゅうがコンクリートのほこりっぽい匂いに満ちています。水はもちろんまずい、というより飲めません。しかし、こうして外を眺めていると「33年ぶりに上海に来たんだなあ」という、なんとも言えない気持ちがこみあげてきます。本当にありがたい機会を作って戴きました。

上海浦東空港の夕日

高層ビルに瓦屋根

 上海で日本語教育のT先生(10年ほど前に池田進先生のご縁で熊本で知り合い、今回上海で再会)の案内で、新疆ウイグル族の民族料理のお店で遅い夕食。写真はやき鳥みたいなもの。店員はウイグル族で、とても中国人と思えない顔立ち。食べやすくて、おいしくて、その上驚きの安さでした!
 
おっ!上島コーヒー! と思ったら、なんと、UBCコーヒー。いきなりうさんくささ全開です。
 
マクドナルド。無理に漢字で書かんでもと思いますが、他にありません。カタカナ、ひらがなを発明した日本は偉いと思います。

羊の串焼きとビール

UBC?
マクド

(2009.7.4) 「日本語を勉強中の中国人学生に」

 4日は、のんびり準備の予定でしたが、T先生のお世話で、ヒューマンアカデミーで日本語を学んでいる生徒さんに中国語落語をさせて貰うことになりました。先日のシンアイと同じ形で、ほとんどが中国人で、そこへ日本人の先生が数人。まるまる一席は長いので、前半をはしょり、日本語の説明も入れながら「ちりとてちん」を。これが、思いの他うまくゆきました。南陽さんも、英語の「修羅場読み」も入れ熱演。充実の一時間。明日への光が見えました。


 ヒューマンでの一コマを送らせて頂きます。楽しかったなぁ・・・

(以上、旭堂南陽師匠より)


ヒューマンアカデミーの落語会の様子を送っていただきました。

 定期的に上海独演会すればいいのに!! ま、今回は完璧に宣伝不足だと私は思います。1200万都市上海、そこに済む日本人約10万人。小さな世界ですよ! その日本人社会、皆、見ている雑誌というか、新聞(週1回で出るヤツ)など、決まっているのです!【TRさんより】


 ヒューマンアカデミーでの出前公演を最高の形で終え、意気揚々と繁華街の日本料理店へ、寄席の宣伝に行きました。上海の日本料理店で、日本人、中国人の「日本語を話そう会」に飛び入り! 明日の寄席の宣伝をしました。中国人のギターの先生が、日本語でライブをしてくれました。

宣伝に盛り場へ

和食のお店で

 夜、ヒューマンアカデミーのT先生のお招きで、四川料理屋へ。T先生の生徒さんで、日本語教師養成講座の方々の資格試験合格祝いも兼ねて。皆さん、明日の落語会にも来て戴けるとのことで、ありがたい限りです。それはええけどこの一品、ほとんど唐辛子。誰も食べられません。まあ、他においしいものもありましたが、酢豚のような甘酢系は全くありません。日本のなんでもある中華料理はなかなかのもんです。

ほとんど唐辛子

 四川料理屋のアトラクション。ショータイムになると、階段からフロアから、いっぱいになります。どうやら、その時間になると外から人が入ってくるようです。いわゆる「ただ見」ですが、お店はおおらかなもんです。一瞬にして顔が変わる「変面の芸」。見事でした!

「変面の芸」

 この後、注ぎ口が鳥のくちばしのように1メートルほどある、じょうろのようなものでお茶を注ぐ「茶芸」がありました。これもカンフーのような動きですばらしかったです。驚きの早さで、じょうろが縦横無尽に動きます。二階の貼り出したステージなので、お客は一階のフロアから見上げます。何度も空中にほうりあげたり、回したりするのに最後までお茶が無くなりません。雑技のようでした。

「茶芸」

(2009.7.5) 「いよいよ、本番!」

 後ろ幕や幟(のぼり)も持ち込み、いい高座ができました。写真は南陽さんと高座。南陽さんは、釈台まで持ってきてくれました。

南陽さんと高座。
舞台全景

 ヒューマンアカデミーのT先生のご尽力もあり、お客は約90人。よくお集まり戴きました。番組は、「前説」・新治、「水戸黄門」・南陽、「ごんべえ狸」・新治、(お中入)、「ちりとてちん(中国語)」・新治、「太閤と白猿(中国語)」・南陽、「紙入れ」・新治、「玉すだれ」・南陽。いずれもやさしいお客さまに助けられ、よくお笑い戴きました。中国人のお客様も、「ちりとてちん」でよく笑ってくれました。手応え充分の上海公演となりました。

南陽さんの講談。
新治さん登場。

 打ち上げは、有名なお店「全聚徳」にて。ただ、店員さんは日本語も英語も分かりません。テーブルに、夏の間の店長お薦めのサービスが書いてあります。そこまではわかりましたが、さあ内容が分からない。結局、「200元以上食べたら、5000元が当たるくじ引きがある」のと、「期間中は、50元くらいの料理が10元ほどで追加できる。その料理は、エビと甲魚と蝦蛄」ということ。この甲魚(すっぽん)と蝦蛄(シャコ)がわからん。周囲のテーブルの中国人を巻き込んで大騒ぎ。とうとう、調理場から、現物がテーブルに運ばれてくる始末。
 けど周囲の中国人は本当に親切です。かつて多大な迷惑(どころでないが)をかけた加害者側に対し、鷹揚に接してくれます。まわりに日本人がいない状況で、本当にありがたかったです。

打ち上げは北京ダック


 「最終日の晩、父ブッシュも来たという北京ダックの名店での出来事。店員さんが指差したテーブルの上の案内板。ベラベラっと話し、「どれにしますか?」と聞かれ、何が何だかわかららない。我らが新治師匠も中国語で応戦。すると隣の2つのテーブルや暇そうな店員さん達がやって、黒山の人だかり。親切そうな隣のテーブルに走った新治師匠ペラペラと話終わった後「わかった!」と一声。案内板は何の事はない200元以上頼むと40元の料理が9元で頼めて、さらに5000元が当たる抽選券をくれるというお知らせでした!」

(以上、旭堂南陽師匠より)

 北京ダックの店の騒ぎの元の、メニューです。あと、スプライトは、「雪碧」と言って、辞書にも載って無く、永らくその意味がわからず、悩まされました。スプライトとわかった時はあほらしなりました。確かに中国ではよく飲むようです。(下の写真は南陽師匠提供)
大騒ぎの元の
メニュー
辞書にない「雪碧」は
スプライト!

(2009.7.5) 「上海、学校寄席」

 7月6日、東浦日本人学校にて、学校寄席。6年生と中学1年生、合わせて300人ほど。たくさんいるのにまず驚きました。
 まず私が前説。お行儀よくきちんと聞いても
らえるので、よく受けます。続いて、南陽さんが、ポルトガル語の修羅場読み(誰もわからへん)、英語の修羅場読み(ボストンだけわかる)を軽くやって、「竹の水仙」へ。落語にも、浪曲にもありますが、こちらが本家。さすがに風格があり、生徒も引き込まれています。軽いくすぐりにもよく反応しています。
 私は、日本語で「ちりと
てちん」、その後に南陽さんが「玉すだれ」。手ごたえ充分の学校寄席で、上海公演の最後を、気持ちよく飾らせて戴きました。


 地元上海の日本人向け情報誌にも、大きく取り上げて戴きました。ありがたい宣伝、感謝!

地元の情報誌に。


 昨年末に開催され、大好評だった「上海で落語の会」主催の落語会が7月5日、緑地商務大厦で再演される。ゲストとして話芸を披露するのは、NHK番組「上方演芸ホール」にも度々登場し、その傍ら人権講演会の講師としても活躍する露の新治。今回は、上海での公演ということもあって、なんと「中国語落語」にもチャレンジする。落語ファンはもちろん、寄席は初めてという方も、気軽に足を運んで。

(以上、雑誌のコメント。)


きんまがりちんぞう先生』

 どんなおっさんや!と思うでしょう。今回の上海での最大の収穫がこれ。ビデオ屋に連れて行って貰いました。マンガ、島耕作では、カウンターの横に秘密の扉があり、その中に、海賊版がいっぱいということでしたが、いきなり全店海賊版でした。実に堂々としたものです。南陽さんは、映画解説者でもあるんですが、「これ、まだ上映中ですよ!」と興奮してました。ニコラスケイジが「コラスケイジ」になっていました。まあ、そんな人がいてるんかもしれませんが。
 その中で、再会の収穫がこれ!金曲珍蔵。実は、貴重な曲をきちんと収めてあるという意味ですが、それにしても、誰がよんでも「きんまがりちんぞう」としか読めません。これを見つけただけでも、今回の上海公演は有意義でした。


「勇心酒造の社長さん。」

 上海公演レポート(番外)。上海のホテルに着いたその日、テレビをつけたら日本の番組。見てたらなんと、昔インタビューをさせて貰った、香川県の「勇心酒造」の社長さんが映りました。あわてて画面を写メールで撮りました。
 お会いしたのはもう20年ほど前。酒造の発酵技
術を活かして、入浴剤や化粧品を作ろうと一味違った展開を目指してはりました。私は社長さんお自宅のお風呂(当時珍しい様式)にパンツ一丁で入り、当時得意としていた下ネタを連発。女性のADをキャーキャー言わせ、肝心の発酵の話はほとんど聞かず、局に帰って怒られました(リスナーにはおもしろかったと好評)。いまでは、どうやらその新展開が成功して経済界から注目されているようです。中国語の落語という、私にとっての夢が叶った上海で、旧知のお顔を中国のテレビで見るとは、なんというご縁!これは幸先がええ!
 うれしかったので、ネットで調べ勇心酒造に送りまし
た。すると、社長さんから丁寧なお礼のメールを戴きました。写真はそのワンカットです。


(へらへらメールより)

 新治師匠が中国語落語についてコラムを書かれてます☆ 『中国語で落語、いや、落語で中国語』(こちらからどうぞ) 素晴らしいですね!今度はいつ師匠の中国語落語が聴けるかしら☆
 それと、
中国で発行している日本人向けフリー ペーパー「Bros」に新治師匠の記事が載っていたようです☆ なんか、感想とかが書いてありそうですが、読めない。残念。

【2009/5/14 東京都練馬区 かおる様】


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