芝居小屋で独演会 上方の粋
露の新治 落語会
2022年11月23日(水) 
岐阜県中津川市 
常盤座


 「すでに幟が揚がってます!」 (2022/11/22)

 明日の、中津川の落語会。幟がすでに揚がってます! 会場は芝居小屋。雰囲気も上々。後は、お客さまを待つばかり!願生(がんば)ります。

 「常盤座落語会。」 (2022/11/23)

 岐阜県中津川市、常盤座にて「露の新治落語会」。ほんまもんの芝居小屋の底力に圧倒され、その力を戴き、精一杯の三席。

常盤座落語会顛末記 〜露の新治師匠を迎えて〜

【岐阜県中津川市 田島雅子様】

 芝居小屋の神様はおられました。落語の神様と二人して、守るどころか 師匠の背中を大きな力でどやしてくださったのでは。
 なぜか当日(11月23日)だけ寒く、これでもかとの大雨。50分の延長で暗くなってしまった雨の中、帰るお客さまは 口々に「よかったね。」「すごかったよねぇ。」「震えたわ。」「初めて落語で泣いた。」満足の笑みを浮かべて駐車場へ。お客さまからいただいたアンケートは記入式にもかかわらず、嬉しい言葉、励ましの言葉があふれていました。

中津川落語研究会のこと
 2017年、中津川では珍種にあたる落語好きが3人集まり、『中津川落語研究会』を結成。誰も手を着けてないから使ったもん勝ちと、『中津川』と大きく打ち出すことに。1人は30代の新宿育ち、幼い頃から引きこもるかわりに、単身寄席通いの獣医師。2人目は東京の大学で落研にのめり込んだ公務員、そして落語に出会ってわずか5年目のこの私。
 獣医師が柳亭小痴楽師匠の友達の知り合いで、「中津川に呼べないかなぁ?」が切っ掛け。イベント魂に火が着いた私、「よし、呼ぼう!」
 2017年6月「小痴楽ひとり会」。2018・19年「笑福亭喬介 ・柳亭小痴楽東西会」。市の文化協会が注目、依頼を受けて、公費で喬介・ 新幸・ りょうば(含むテレスコボーイズ)の寄席を企画。市内各所にポスター。準備万端。当日を待つばかりの2020年春、コロナ非常事態宣言であえなく中止。2021年の企画も中止、意気消沈した研究会の2人を尻目にスピンオフ。この会からは私一人。コロナ下火の12月、桂りょうばさんとおりが合い 小さな「ひとり会」を開催。翌2022年春に企画の笑福亭松喬師匠の会は中止。
 秋の声を聞く頃、ずっとあたためていた 新治師匠の噺を芝居小屋で聞く会の企画を始動。6年ほど前 中津川の西生寺様での人権落語の会で惚れ込み、蒲郡、飯田、大須、ホームグランドの奈良まで追っかけ。聞く度にはまり込み、地芝居盛んな地元の芝居小屋で 芝居噺が聞きたい。思いをつのらせ2ヶ月の奮闘。

新治師匠、常盤座公演
 岐阜県中津川市福岡、常盤神社の境内に立つ、130年の時を経た地芝居小屋、常盤座。老松を背に まっ朱な出で立ちで、お客さまの目を奪う師匠。芝居小屋の神さまが目覚めた時。高座の師匠の右手には、鳥屋口から舞台にのびる花道。提灯下がる2階席から のり出すお客さまの顔、顔。

1席目 「狼講釈」
 師匠の口から流れ出る講釈は 全べて理解できる、ちょうどよいお年頃のお客方。その笑いにつられて、若い衆もほどけてにんまり。ゲストは マジック。名古屋で活躍の マッハ金太郎師匠。マジック独特の前のめりになる緊張感が無く、おどけた風貌、軽い口調でのお客さまとのやり取りに、落語とはまた違った笑いが弾ける。

2席目 「井戸の茶碗」
 しっとりとした縞の着物で、情景豊かに「クズ〜イ!」。丁寧に練り込んだ噺は、落語初心者にもわかりやすく「このはなし大好き、癒される」、「みんないい人、悪い人出てこない」。師匠いわく、素直なお客さま。その優しい心を上手につかんだ1席。

 通常ならここでハネルはず、ところが芝居小屋の神さまに操られたかのように。

3席目 「中村仲蔵」 ―あえてスペシャル―
 芝居噺の四段目、七段目の聞かせどころをぎっしりつめ込んで。口の端からしたたり落ちる 血潮が白塗りの腿を染めて・・・ 「初めて聞いた生落語、涙が出た」、「動けんかった、息もできない(してたと思いますが)」、「握りしめた手が痛い」。身じろぎもせず食い入るお客さまは、50分の延長に気付かぬ様子。師匠の芸の力で 皆がひとつになることができた、大成功の常盤座公演。
 新治師匠、最高の贅沢な時間を ありがとうございました。次が怖いです。しかし、師匠「次回も行く!」と言ってください。お待ちしています。新たな落語ファン、新治師匠ファンとともに。そして、芝居小屋の神さまもきっと。


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