新ちゃんの へらへら日記


2023年1月~2023年3月

2023年1月

 「新年のご挨拶。」 (2023/1/1)

 あけましておめでとうございます。振り返れば、去年は噺家人生、最高の年でした。動楽亭、繁昌亭、神戸の喜楽館、さらには名古屋大須演芸場、そして国立文楽劇場の特選会まで全てトリを勤めさせて戴きました。鈴本のお盆興行では前が「一之輔、喬太郎」、後ろが「さん喬、権太楼」という夢みたいな出番の中トリ。また敦賀落語会50周年記念公演や米子の桂文吾師匠の襲名披露公演と、晴れがましい場には縁のなかった私が出番を戴きました。また仲間の噺家からは、落語会のゲストに呼んで戴き、これも今まで無かったことでありがたい限りでした。コロナ禍でも休まなかった酒蔵寄席をはじめ、まつばら落語会は相方の桂文華さんの負傷を乗り越え、満徳寺寄席は新幸の負傷を乗り越え盛況でしたし、島根の「あったか寄席」も三年ぶりに復活、さらには岐阜中津川の常盤座(芝居小屋)で初の独演会、門戸寄席「露新落語会」も続いてます。そして高槻のライブハウスの杮(こけら)落とし公演とほんまに夢のような一年でした。御稽古も、たくさんさせて戴きました。身の丈からしてもお十分です。よおやれました。お支え戴いたお客様あればこそです。ありがとうございます。今年は、この一年で見えてきた弱点を反省し、お客さまに理屈抜きに楽しんで戴けるような落語を目指したいです。そして「集客力のある噺家」を目指したいと思います。そのためには、一皮も二皮も剥けねば、進化せねばと思います。そして「全ては高座」と精進してゆきます。「才能のないやつは努力しろ(by上岡龍太郎)」努力します。「これからがこれまでを決める」これから、これからです。みなさま宜しくお願いいたします。
露の新治 平伏

 「兵庫県立美術館『県美亭ワンコイン寄席』。」 (2023/1/13)

 兵庫県立美術館の「県美亭」。会主は露の吉次さん。ネタ出しで「柳田角之進」。ええお客さまで、ええ感じでやらせて戴きました。昔、三木の宝寿司さんで寄席をやらせて戴いてました。吉次さんと交代してからも、たまに出してもろてました。その頃のお客さまが来てくれはります。ほんまにありがたいです。

 「鈴鹿市人権フェスティバル。」 (2023/1/14)

 コロナで一年延期。やっと開催できました。出演は、桂勢朝、豊来家板里、露の新幸、新治。お笑い人権高座、落語、ギター小咄、太神楽曲芸、南京玉すだれ。一年、出番の無かった七十噺手拭いも、全員にプレゼントできました。役所の人権担当だった懐かしい人たちも駆けつけてくれて、ありがたいことでした。

 「おいど寄席。」

 繁昌亭夜席、横山プリン「おいど寄席」。濃~い会でした。こんな会にキャラの薄い私が出られたのは、プリン師匠のおかげ。ありがたく勉強させて戴きました。ほんまに勉強になりました。「落語は何でもできる」、「全ては高座」。願生るしかありません。
 番組は、「ごあいさつ」・高井ギャラ、「変面」・亜空亜SHIN(あくあしん)、「乱入」・横山プリン、「がまの油」・桂坊枝、「時ゴジラ」・笑福亭鶴笑、(お中入り)、「狼講釈」・露の新治、「葬儀屋さん」・笑福亭福笑。
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2023年2月

 「三年ぶりのべっぴん寄席。」 (2023/2/12)

 三年ぶりの寄席。世話人の皆さにあたたかく迎えて戴き、幸せな再開となりました。番組は、講演「小学校教科書に見る人権、反差別」・松本卓也先生(山口県同和教育研究協議会事務局長)、(お中入り)、「時うどん」・新幸、「コミックパフォーマンス(マジック、ジャグリング、風船芸)」・パフォーマーTASUKU、「てんしき」・新治、「お楽しみ抽選会」。朝5:40暗いうちから出発。23:50帰宅。長い、けど充実一日でした。コロナで流れつづけた会。やれて良かった!世話人の皆さま、来て戴きました皆さま、本当にありがとうございました。
3年ぶりのべっぴん寄席
「講演」・松本卓也さん 「時うどん」・新幸
「てんしき」・新治 パフォーマーTASUKUさんと

 「『新治福楽リクエスト二人会』のご案内。」 (2023/2/24)

 このチラシのリストの中から二席ずつ選んでいただき、高座にかけます。どうぞ宜しくお願いします。
〇 露の新治 桂福楽 リクエストふたり会
 日時:4月8日(土)【第1部】11:00~、【第2部】14:30~
 会場:奈良県奈良市 落語喫茶「古々粋亭」
 出演:福楽、新治
 料金:前¥2,500、当¥3,000、通し前¥4,000、当¥4,500

2023年3月

 「みさえ広場・人権の集い」 (2023/3/6)

 3月4日(土)兵庫県芦屋市の芦屋市民センターにて、芦屋市議会議員、山口みさえさんの集会。私はお笑い担当。山口さんを支えてこられた方々の優しさに包まれて、のびのび話せました。おかげで良く盛り上がり、会場が一つになりました。山口さんの日頃の活動の積み重ねとお人柄の力です。これは、先日の京田辺市民寄席の代表世話人、次田のりこさんも一緒です。自治体議員には、反戦、反差別を軸に地味な活動をずっと続けて来られた方々がいっぱいおられます。ほんまに頭が下がります。そんな方々に笑顔の春が訪れますように日々祈っています。

 「落語から学ぶ睡眠医療」

 3月5日(日)愛知県名古屋市の栄中日文化センターにて、寝かせない落語家と寝かせる睡眠専門医の座談会。ありそうで無かったコラボレーション。睡眠医療専門医で落語好きの中山明峰先生(めいほう睡眠めまいクリニック院長)の発案で実現した試み。聞き上手のお客さまで満席。ありがたく盛り上がりました。先ず、寝させるドクターの寝るための寝させない話。次に、私が夢に因んだ落語「宇治の柴舟」。その後のトークも中山先生のリードで深い中味を分かりやすく。仮眠(昼寝)は15:00までが印象に残りました。私はクスグリ担当。ちょうどええあんばいで、終始お客さまは笑顔。最後に、何かしっとりとした落語をと振られて「まめだ」を。「次回も来てくれますか?」に大きな拍手。中日文化センター初の不思議な会は大成功。用いて戴きありがたい限りでした。

 「本末顛倒」

 近所に四天王さんの大きな墓地があります。そこへ散歩に行ってます。ところがいつの間にか近道をするようになってしまいました。これではあかんと思い万歩計をつけました。すると全部で4000歩ぐらいでした。「一日4000歩」が目標であり励みでした。こないだ散歩に出かけようとしたらその万歩計が見当たりません。すると急に「歩くのがいやになり」ました。いつの間にか、「墓地へ行く」「4000歩」が目標になってました。ほんまは「健康のために歩くこと」が目標やったのに。本末顛倒。手段の自己目的化とは、まさにこのことやと思いました。

 「てんしき」 【注:3月9日に訂正の日記があります。必ず、こちらを読んだ後で、3月9日の日記をお読みください。】

 落語「転失気(てんしき)」で、和尚が「天の下に口を、を書くと、呑むという字になる。てんは「呑む」か?しゅは酒、器(き)はうつわ。酒を呑む器で、てんしゅき、なるほど呑酒器で、てんしき」と納得する場面がありますが、これは間違いです。「呑」は「どん」としか読まず「てん」とは読みません。長いことこの部分が引っかかっていたのですが「酒呑童子」は「呑」を「てん」と読ませているのに気がつきました。それで「酒呑童子のてんは、呑むという字を当ててる。なるほど、呑酒器でてんしきか?」としました。これは、私の知る限り誰もやってません。小さな発見ですが、私としては大きな発見です。ある後輩が「使わせてほしい」と言ってきましたので、広がれば嬉しいなと思います。そんなことを喜んでたら(暇か?)、知り合いの落語ファンの方から「てんしきは放屁ではない」と教えられました。正確には、おならを我慢した時の体内にとどまったおならで「放たれてはいない」のです。「おならを我慢する」と言いますから「おならはおなら」なんですが、放屁ではないので従来の解釈ではやれません。只今思案中です。どなたかええ案があればご教示くださいませ。

 「お詫び。てんしき。偉そうなことをゆうて申し訳ありませんでした。」 (2023/3/9)

 「呑酒器」の「呑」は「ドン」とは読むが「テン」とは読まない。従来の説明では無理がある。そこで「大江山の酒呑童子」が「テン」と読ませているのに気づき、その部分を入れたのは自分のオリジナルで・・・と偉そうに書きましたが、真っ赤な嘘でした。実はある人から教えて貰ったことを、全く忘れて「自分で気づいたと思いこんでた」だけでした。その方からご指摘を戴き、私の勘違い、間違った思い込みやということがわかりました。ほんまにお恥ずかしいです。心からお詫びをいたします。すみませんでした。ほんまに私は自分の都合でしかものを考えていないことが暴露されました。これからは口を慎みます。お詫びして、訂正させて戴きます。露の新治拝

 「和歌山市西和佐地区公民館人権委員会合同研修会。」 (2023/3/12)

 3月12日(日)和歌山市西和佐地区公民館にて、人権委員会合同研修会。タイトルは固いですが、中味は柔らかく楽しきものになりました。番組は、「お笑い(たっぷり)人権高座(我が身の丈に合わせて、お話しさせて戴きました。)」・新治、「太神楽曲芸」・豊来家玉之助、落語「井戸の茶碗」・新治。曲芸も含め、お客さんと一つになった、終始笑いが絶えないない会でした。聞き上手に笑いまし上手。私ら芸人が乗せて貰いました。ありがとうございます。

 「祝!再審開始決定!次こそ狭山や!」 (2023/3/13)

 清水こがね味噌事件(いわゆる袴田事件)の再審開始決定を心から喜びます。袴田さんが犯人にでっち上げられた原因の一つが「元プロボクサーだった」ということがあります。昔は「ボクサー崩れ」という言葉がありました。「ゴルファーくずれ、剣道くずれ、柔道くずれ、フィギュアスケートくずれ」とか聞きません。ボクシングを野蛮なスポーツと見る蔑視が、袴田さんを色メガネで見ることになりました。とんだとばっちりで、許されない差別です。それでこれは袴田個人への蔑視ではなく「ボクサー全員、ひいてはボクシングというスポーツへの偏見」だと言うわけで、日本ボクシング協会(ファイティング原田会長・当時)が再審開始をリングの上から訴えてきたりしました。今日ようやく再審開始が決まったこの事件。次は無罪獲得です。そして、次こそ狭山です。

 「神戸新開地、喜楽舘。」 (2023/3/17)

 おかげさまで元気に、日々もがきながらも、楽しく高座を勤めさせてもろてます。演目は3月13日(月)の初日から「てんしき」、「宇治の柴舟」、「転宅」、「一眼國」、3月16日(木)夜席「元気寄席」は「竜田川」。今年になって17席、11演目。1、2月は高座が少なかったのですが、徐々に増えてきました。なるべく演目数を増やしていきたいとおもてます。どうぞ宜しくお願いします。


 「狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西。」 (2023/3/21)

 袴田巌さんの再審が確定し、新聞の一面を飾ったその佳き日に最高のタイミングで行われた「狭山市民の集い」。西成区民センター大ホールは大入り、大盛況。なんとロビーに夜間中学のレジェンド髙野雅夫さんの姿が!感激してると戸川正明先生とも再会。東本願寺の相良晴美和尚(元同宗連議長)は衣を着ての参加。パギやん(趙博さん)の姿も。狭山パンフを読む会からは、豊橋で活動する山崎和男さん、幽霊会員の私を入れて七人の参加。「狭山は人をつないでくれる、出会わしてくれる!」解放同盟代表の挨拶の後、いきなりの出番。思えば、狭山差別事件の集会でお話するのは初の経験。つい自分の思いを話したくなりましたが、えらそうに「関わってきた」と言える身でもなく、芸人として精一杯お笑いいただけるよう努めさせていただきました。指宿弁護士の再審へ向けての分かりやすいお話。袴田ひで子さん(巌さん姉)、狭山の主役、石川一雄さん、石川早智子さんのビデオでのアピール。冤罪被害者の青木さん、西山さん、金監督、支援者のノジマミカさん。四人のトーク。当事者のなまの声は心に響きました。青木さん、西山さんのお二人は想像を絶する辛い体験を乗り越えられ、お人柄もお話も魅力的でうなずきながら笑え、いつまでも聴いていたいほど。迫力いっぱいの太鼓演奏もあり気分も高揚。そのままデモへ。岸里から花園、あいりん地区を通り新今宮まで。先導車から流れる「差別裁判うちくだこう」に目がしらがうるみました。ええ加減な関わり方、生き方をしてきた私が参加してええのかと、腰の引けた参加でしたが、ありがたい一日でした。次々と冤罪事件の再審が決まる中、ほんまに狭山は遅すぎます。石川一雄さんは84歳。次こそ狭山!ほんまにそう思います。

<プログラム>

 地元挨拶
 記念講演 「お笑い人権高座」 露の新治
 弁護団報告 狭山再審弁護団 指宿昭一さん
 議員・政党挨拶 衆議院議員・大石あきこさん、社民党副党首・大椿ゆう子さん
 (休憩)
 ビデオメッセージ 狭山事件えん罪被害者 石川一雄さん、石川早智子さん
 連帯挨拶 清水事件えん罪被害者家族 袴田ひで子さん
 トークセッション 映画監督・金聖雄さん、東住吉事件えん罪被害者・青木惠子さん、
          湖東記念病院事件えん罪被害者・西山美香さん、FB狭山事件の再審を実現しよう管理人・ノジマミカさん
 太鼓演奏 熱光(ひかり)、鼓情炎(こじょうえん)、いぶき
 閉会挨拶
 集会終了 パレード出発

大きな看板 髙野雅夫さん 山崎さんと
【当日のようすはこちらからも】
 「奈良市西部公民館『せいぶ春の一番落語会』。」 (2023/3/22)

 「春一番」というのはほんまは危険な突風らしいので、「春の一番」となりました。バスケットコート一面という広い体育館に高座を作り、後ろ幕を張り少しは寄席風のしつらえができました。無料、予約不要という気楽な催し。会場は広い(広すぎる)ので果たしてどれぐらいお越し戴けるか不安でしたが、蓋を開けてみると主催者の予想(80~100)を遥かに超える250人以上の超大入り。椅子を追加し、さらに丸椅子をかき集め、マットを敷き座り席を作っても足らず、ついに立ち見まで。行政の催しでこんなことは私にとって前代未聞。大当たりの企画となりました。番組は、お相撲に因んだ二席「竜田川」、「相撲風景」でお中入り。後半は、先日動楽亭で痛恨のミスをした「井戸の茶碗」。今回、なんとかミスなしでやれました。今回、お客席で、私の手拭いをかざして応援してくださる方がおられ、感激。これも私にとって初めての事で、ましてや行政の催事では想定外のこと。ありがたく、ありがたく感じました。

写真提供:西部公民館

 「吉次の『かるめに寄席』のご案内。」 (2023/3/28)

 4月2日(日)、神戸市中央区ハーバーランドの、ラジオ関西や神戸新聞のある神戸情報文化ビル「カルメニ」で開催される、吉次さんの会「かるめに寄席」に出さしてもらいます。ちなみに5月以後の予定は、レギュラーの吉次に加えて、5月7日(日)露の眞(まこと)、6月4日(日
)旭堂南海。入場無料です。
〇 かるめに寄席
 日時:4月2日(日) 15:00~
 出演:吉次、新治
 料金:木戸無料!!

 「弥生三月、噺家の命日。」

 3月28日は、月亭可朝師匠のご命日です。私の勝手な印象ですが『3月は噺家の命日が多い』ような気がします。9日が文紅師匠、12日は五代目文枝師匠(文福師からメールが来ました)、19日が米朝師匠(動楽亭の楽屋で吉弥さんから聞きました)、28日が可朝師匠、29日が先代染語楼師匠(私と同学年)。そして30日が師匠、五郎兵衛です。五郎兵衛は最後の桜に間に合いました。斎場の桜は満開でした。「この花を見ず逝きし人 花吹雪」昔、吉野の桜を観た時浮かびました。花を見るたびに「今年も見られたなあ。ありがたいなあ」という気持ちになります。同時に「あの人は見んままやったなあ」と思います。「願わくば 花の元にて 春死なん 西行」知り合いが教えてくれました。